2022.05.07
全店のなかでも群を抜いてお庭のご相談が多い豊橋店。豊橋店に在籍するガーデンディレクターの戸加里は、お庭のデザイン・施工案件を一手に担っています。そんな戸加里に、garageのお庭の魅力や自身のこだわり、これからのお庭づくりで目指していることなど聞いてみました。
―植物との関わり、そしてこれまでの経緯を教えてください。
もともと実家が造園業を営んでいて、子どものころから植物に囲まれて暮らすことが当たり前の環境でした。自然にハサミを手に剪定の仕事を手伝い、時には遊び感覚でユンボなども運転していました。
大人になってからは、植物から離れて異業種についたり、海外に行ったりもしました。いろいろ広く世界を見た後、結局何が一番好きか、そして何に携わりたいか、自問自答した時にやはり植物のところに戻って来た自分がいたんです。
garageに初めて行ったとき、普通の園芸店にはない植物の魅せ方やインダストリアルかつジャンクなお店の空間そのものに一発で魅了されましたね。ここで働きたい!とすぐに門を叩きました。
―garageがつくるのはどんなお庭ですか?
オージープランツなど個性的な植物をメインに、古材や石を効果的に使ったデザインが主流です。自然素材を使うことで、そのものの素材感や経年変化がお庭に味わいをもたらします。インテリアも扱う園芸店なので、植物にブロカントなどの雑貨を合わせ雰囲気をつくるのも得意です。
また、まったくのゼロから構造物をつくりあげることで、既成のエクステリア商品にはないオリジナリティもご提案します。たとえばフェンスひとつとっても、縦貼りか横貼りか、色は単色かミックスか、板幅は何センチか、高さは均一かランダムか、というように幾通りものオプションを用意しています。そのなかからお客さまと一緒に、ひとりひとりのお家や趣味嗜好によりぴったりとはまるデザインを見つけていきます。
お庭なので植物を主役にし最大限引き立たせる空間づくりは多いですが、逆に格好良い構造物を主役に植物を添えていき空間をつくりあげていく場合もあります。
garageのお庭は、お引き渡しの時に完全に完成するものではないと思っています。草花の成長や経年変化、そして暮らすお客さま自身がお庭に手を加えることで、より素敵な空間に育っていってくれるはずです。
―庭づくりの際に心がけていることはどんなことですか?
とことん、お客さまのご要望や想いをかたちにしたいと思っています。なにか難題にぶつかったら、お客さまと一緒に可能な限り悩んで考えて、様々な角度から新しく提案をしていきます。「無理です」という言葉は、言いたくないんです。
何年後か将来の姿を思い描きながら庭をつくることも大事です。植物の成長やライフスタイルをきちんと視野にいれて、住む人の目線から植物や構造物の位置を考えます。庭をつくりながらお客さまと話し合って考えをすり合わせて、最初の図面から少しずつ変更していくことも多いです。お客さまの満足度=自分の満足度なので、自分の家の庭をつくる気持ちでいつも現場に立っています。とにかく一番に、お客さまが納得できるお庭がつくりたいです。
あとは、やはり仕事の精度は常にこだわりがありますね。レンガを敷くにも平らに美しく、フェンスの水平垂直はくるいなく、そういった基本のところはとても大切にしています。やってもらって良かった、とお客さまに思って頂ける仕事がしたいです。
―好きなお庭の植物を教えてください。
お庭の植栽でよく使うのは、ティーツリーです。葉の色味が種類豊富なので、お家の外観に合わせて品種を選びます。
個人的に好きな庭木は、ウンリュウカラタチと落葉期のシダレエンジュです。どちらも個性的な枝ぶりをしていて、不思議な魅力を持った木です。一本で独特な雰囲気を醸し出す癖のある感じがたまりません。植物だと、ホワイトセージも存在感があり好きです。
―これからどんなお庭をつくっていきたいですか?
固定概念にはまらず、常に枠を超えたデザインを生み出したいと思っています。ほかの誰もやっていない、そして自分が今までつくったもののさらに一歩先をいくオリジナリティは必須ですね。時代の流れをきちんと見つめることも重要だと思うので、時代や人々が求めることをくみ取りつつ革新的な庭のアイディアを考えていきたいです。
あとは、自分のこだわりをつき詰めていきたいです。たとえば、石の置き方ひとつでも教科書どおりにやると普通すぎて面白くない、かといって適当に置くのも違う…じゃあこう置いてみよう!という、そういったひとつひとつ細部に自分のこだわりを表現したいですね。
庭づくりはお客さまの満足度が目に見えて分かる仕事なので、とてもやりがいを感じています。一般的な造園会社ではなくこのお店だからこそ、自分は日々の仕事に楽しみを感じられる気がします。これからもたくさんのお客さまにお会いして、それぞれオンリーワンのお庭をつくっていきたいです。
interviewer:Mari Ohki
戸加里太郎
Taro Togari
garden director