2021.03.14
名古屋店はgarageの中でも特に観葉植物に力を入れている店舗です。それは名古屋駅の近くという立地もありますが、店長の存在も大きく関わっているように思います。今回は店長の川橋に、観葉植物の魅力や育て方、また仕入れについて聞いてみました。
―川橋店長は、garage全体のスタッフの中でもひときわ観葉植物の知識が豊富ですが、何がきっかけで観葉植物の魅力に引き込まれたのですか?
小学生の頃にホームセンターでクワズイモに出会い、祖母に買ってもらったことが原点です。それから近所に地植えされたクワズイモを発見して、当時の自分の身長くらいある大きな葉にとても衝撃を受け、こんな風に育てたいという気持ちが湧きました。クワズイモは地植えにすると冬を越しますが、鉢植えだとなかなか難しいんです。それを発見するまでに何鉢も枯らしましたが、その度に祖母にお願いをして新しい株を買ってもらいました。自分で試行錯誤しながら越冬の仕方を学び、植物を育てることに喜びを覚えました。
沖縄に自生しているクワズイモ
それ以来、祖母と出かけては観葉植物を買ってもらい、多いときでは70鉢以上のあらゆる植物を小学生の時から自分で育てていました。今のように情報がすぐに手に入らない時代だったので、植物と向き合い研究する日々でした。自分の部屋にヒーターをつけて温度管理もしましたが、一生懸命育てても枯らしてしまうことがたくさんありました。それでも、本来育たない環境下で自分が手塩にかけてお世話をすれば、ちゃんと成長をしてくれることが嬉しくて、自分にとって植物は欠かせない生活の一部となりました。人間は自然に生かされている、植物があるから人間は生きていける、と子どもながらに思ったものです。
―植物の魅力はどういったところですか?
端的に言うと、「四季折々の美しさ」が自分にとって最大の魅力です。
春は芽吹きの美しさ、夏は茂りの美しさ、秋は色付きの美しさ、冬は枝先の美しさ…、一年を通してすべての時期に美しさがあり、時を一緒に刻んでいることを実感します。人間と同様、ひとつとして同じものはありません。ひとつひとつの枝ぶり、葉付き、成長の軌跡、そういった部分に注目すると本当に奥深くて魅力に溢れています。
―名古屋店は立地の面からも、庭木より観葉植物をお求めになるお客様が多いですよね。どんなことを意識して仕入れをしていますか?
名古屋店では、幅を取らず枝に動きがあるものが人気です。葉が徒長(とちょう:日光不足により植物が光を求めて不自然に成長してしまうこと)していないことはもちろん、根がしっかり張っていることも重要です。
根がしっかり回っている状態は、植物に体力がある証です。根の少ないものに比べると越冬しやすくなるので、そこはしっかりと見て仕入れています。この点に気を付けて仕入れをした植物は、お客様がご自宅に連れて帰っても枯れることが少ないため、初めて買われる方でも安心して育てて頂くことができます。一度植物を枯らしてしまうと、どうしても新たに買う勇気がなくなってしまいがちです。ですので、できる限り体力があり、店頭に出しても恥ずかしくない見栄えの良いものを入荷するように心がけています。
―観葉植物は店長が直接仕入れをすることがありますが、生産者さんや産地を訪れて感じることはありますか?
まずは生産者さんにしかない技術や育て方を垣間見ることができて、とても勉強になります。そして、すごく手間暇をかけて植物を市場に送り出しているんだなと感心します。皆さん職人気質で、直接お話をした時にその真っ直ぐな植物への姿勢が感じられるのも嬉しいです。
産地では道端や海辺など、至るところで植物本来のいきいきとした姿を見ることができます。例えば、店頭ではおとなしく鉢に収まっているポトスも、現地では電柱にツルを伸ばし、切れ込みの入った50cm位の巨大な葉をつけ、まるでモンステラのような姿で自生しています。自分たちが仕入れる植物は、その生命力溢れる植物たちから一部を譲り受けている、お裾分けをしてもらっているような、そんな気持ちになります。だから店舗に入ってきた時は、愛情込めて可愛がりたいなと改めて思います。
―接客をしていると「どうしても枯らしてしまう」というお客様もいらっしゃいます。観葉植物を枯らさないコツはありますか?
水・日光・温度、この3つのポイントは押さえて頂きたいです。水やりの頻度は種類によっても異なりますが、基本的にはしっかり乾いたらたっぷり与えることを守ってください。毎日、少しずつ与える方法だと常に土が湿った状態で根腐れを起こします。鉢底にある穴から水が出る位たっぷりと与えた後は、土の表面だけでなく少し指で掘ってみても乾いている状態になるまで水は与えなくても大丈夫です。水の与え過ぎにより枯らしてしまうケースが非常に多い印象を受けるので、水やりのタイミングはしっかりと見極めてください。
日光に関しては、レースのカーテン越しで日が当たるような状態が好ましいです。ですので、東や南向きの窓辺がベストですね。植物は水と太陽の光をエネルギーとして育ちます。日光不足だとどうしても元気がなくなってしまいますので、気をつけてください。
最後に温度は、冬でも10度以上の環境に置いてあげると安心です。冬の夜はとても冷えます。そういった時にはカーテンはしっかりと閉めて、窓から距離をとるなど工夫をしてください。冬を越すためには体力が一番重要で、その鍵を握っているのは根です。根がしっかりと張っていれば、それは体力がある証です。根を成長させるためには、数年に1度、5月~10月の生育期に直射日光の当たらない屋外で管理をしてあげると良いです。
植物も生き物ですので、マニュアル通りにやってもどうしても枯れてしまうことがあります。本当に枯れてしまってからでは救うことができないので、少しでも異変を感じた場合はぜひスタッフに相談してください。
―名古屋店の今後の展望を聞かせてください。
名古屋店の主力は観葉植物です。ご自宅に置く植物をお探しの時、植物を贈りものにしたい時、そんな時に「garageに行けば何かある」と真っ先に頭に浮かぶお店にしたいです。そして観葉植物の魅力をたくさんの方に知ってもらい、もう一鉢育てたいと思ってもらえると嬉しいです。
また、落ちている枝や石、使い込んだバケツやカゴなど、何気ないものに植物を合わせてみたり、植物の魅力的な見せ方もご提案したいです。お部屋にあるだけで日々の暮らしのスパイスになるような、植物の限りない可能性もお伝えしていけたらと思っています。
interviewer:Kyoko Harada
川橋昌展
Masanobu Kawahashi
garage NAGOYA 店長