植物のおはなし VOL.31
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キンモウコウ(金毛狗)はタカワラビという常緑シダで、熱帯アジア(東南アジア〜中国南部)原産です。沖縄にも自生していて、garageでは親交の深い沖縄の生産者さんから特別にたくさん仕入れさせて貰っています。

生産者さんと一緒にスタッフが山に入り直接採取することもあるんですよ。山で見つけるにはまず大きく伸びた葉を探し、わずかに覗かせている黄金色の毛を辿って株を見つけます。同じ山にはリュウビンタイも生えていて、葉の見極めができると宝探しのようにワクワクします。そして見つけた株を丁寧に掘り上げ、鉢上げして店頭にお届けしています。

見た目の最大の特徴は、根茎を覆う黄金色のふさふさの毛。この姿から「ゴールデンモンキー」や「ゴールデンチャウチャウ」と呼ばれることもありますが、これらは販売名で正式名ではありません。

自生地は、木漏れ日が差す半日陰で、しっとり湿った空気が流れる沢のほとりです。直射日光や乾燥は大の苦手ですので、育てるときも高湿度+明るい半日陰がポイント。春〜秋は土の表面が乾いたらたっぷり水を与え、冬は控えめにして室温を10℃以上にキープ。葉水はこまめに与えると喜びますが、黄金色の毛は濡らし過ぎると黒ずむ傾向にあり鑑賞価値が落ちるため、毛にはなるべく水がかからないようにします。用土は水はけの良いものを選び、過湿で根腐れしないようにしましょう。乾燥や環境変化で葉は傷みやすく、胞子での繁殖も難しいため、初心者の方には少し育てることが難しい植物に感じます。

購入時の葉は生産者さんの環境下で育ったもので、新しい環境には適応できず傷んでしまうことがありますが、それは自然なことです。新しい環境に慣れれば、その場所に合った新芽が出てきます。曲げ加工が施されている株もありますが、それは生産者さんの技で、次の新芽はまっすぐに伸びます。

4寸鉢サイズに育つまで、4〜5年もかかるとても貴重な植物です。似た種類にカツモウイノデ(暗褐色で粗い毛)があり、市場で混同されることもあるのでご注意を。合わせる鉢により魅力を倍増させるので、そこも楽しみなところです。興味のある方はぜひ一度挑戦してみてください。