2025.06.27
じめじめと湿気の多い季節におすすめなのが、涼しげな印象を与えてくれるシダ植物。なかでも「リュウビンタイ」は、ゴツゴツとした塊茎と鱗片を持つ個性的なフォルムで、存在感抜群です。
リュウビンタイは、一部の九州エリアや沖縄、台湾、東南アジアに自生する大型の常緑シダ植物です。ゴツゴツとした塊茎の表面は葉が落葉した跡で、断面が龍のウロコを連想させることからリュウビンタイと名付けられたそうです。
新芽はくるくると巻いたワラビのような姿で芽吹き、やがて手を広げるように葉が展開します。大きなものでは1枚の葉が6mを超えることもあるそうです。園芸店では小ぶりな株が多く出回りますが、大型株はとても希少です。が、garageでは過去に10号超えの大鉢を入荷したこともあるんですよ。
リュウビンタイは高温多湿を好むため、水やりは土の表面が乾く前にたっぷりと与えてください。葉水も効果的で、水不足になると葉柄が垂れますが、すぐに水を与えれば元気を取り戻す頼もしさも魅力です。とはいえ、水のやりすぎで根腐れを起こさないよう、腰水などを工夫しつつ慎重に管理しましょう。
また、育てる環境も重要で、明るすぎる場所よりやや暗めの方が葉の寿命が長くなります。新芽はデリケートで風に弱いため、展開しきるまでは無風で管理するのがおすすめです。鱗片にカビが付いた場合は歯ブラシでやさしく除去を。植え替えは根の間に土を丁寧に入れ込む必要があり、やや難易度が高めです。特に大鉢の株は、購入時の姿のまま長く育てることが理想的です。また、葉は光の方向に向かって開くため、鉢を回してバランスよく育てるのも楽しい工夫のひとつです。育て慣れてきたら「鱗片挿し」で増やすことにも挑戦してみましょう。
窓辺の賑やかな植物たちから少し離れた場所に鎮座するリュウビンタイ、その悠然と構える姿に心が痺れます。恐竜の時代に栄えたシダの生き残り、生きた化石ともいわれ、太古のロマンを感じるその佇まいと、黒褐色の塊茎の造形美は、和の器にもよく似合います。一度その魅力に触れたら、虜になること間違いなしです。
WRITER:Mari Ohki