2022.11.09
秋も深まり、紅葉が美しい季節になりました。お庭の木々も色づいた葉をはらはらと落とし始めています。舞い散る葉が降り積もり、もうすぐ地面をふかふかの絨毯に変えていくはずです。その葉っぱの絨毯の下では、来春の植物たちの芽吹きの準備がすでにもう始まっています。
毎年この季節に欠かせない作業があります。それは球根の植え付けです。
チューリップ、ヒヤシンス、クロッカス、ムスカリ…、大小さまざまな球根を並べてその名前をなぞるだけで、愛らしい花々の姿が浮かんできて心が躍ります。
水を入れたベースなどで育てる水耕栽培も、今の時期に栽培をスタートします。
実は球根は十分に寒さにあたらないと、きれいな花を咲かせることができません。まずは球根を新聞やキッチンペーパーにくるみ、1ヶ月ほど冷蔵庫で管理して寒さを疑似体験させてあげます。
その後、球根から根が出るまでは球根の下部分が常に水に触れている状態に保ちます。球根が水に浸かりすぎてしまうと腐ってしまうので、注意が必要です。
根が出たら、根の先が水に浸かっている程度の水位に変えます。10~20℃位のなるべく涼しい場所に置いてあげて、週に一回ほど水を取り替えてあげてくださいね。
お庭に植え付ける場合は、花が咲く時のことを考えて陽当たりの良い場所を選びます。
特に冬に葉を落とす落葉樹の根元は、陽当たりが良いうえに、落ち葉が分解されて自然に栄養豊富な土になっているのでおすすめです。
ここで、球根を植える時の裏技をひとつ。球根を両手ですくうように持ち、地面の30㎝ほど上からばらっと落とします。そんな風に球根を植える配置を決めると、春に芽吹いてきた時に自然な様子に見えるんです。色や高さが計算された花がきちんと並ぶ様子ももちろん素敵ですが、ラフに設えたお庭もまた違った魅力がありますよ。
ただし、集まって咲く様子が映えるミニスイセンやムスカリやクロッカスなどは、あえて密に植え付けてあげるのもおすすめです。
植える前にまず土をスコップなどでよく耕し、空気を含んだふわふわの土に整えます。植える深さは、クロッカスは浅めに、ほかの植物は球根ふたつからみっつ分くらいが目安です。
球根にはそれぞれ、向きがあります。たとえばチューリップでは、球根の平らな面と膨らんだ面があるので、面を揃えて配置してあげると花が咲いた時に花や葉の向きも揃います。
明るい窓辺や木立の足元を可憐な花々が彩るいきいきとした春の風景を思い描きながら、北風冷たい凍える季節を過ごすのもまた乙なものです。待てば待った分だけ、楽しさや歓びはより大きく膨らむものですから…。
さあ、本格的な寒さがやってくる前に、大急ぎで賑やかな春を迎える準備を始めましょう。
writer:Mari Ohki