2023.08.02
『枯れ木に花を咲かせましょう』
それは昔話の花咲か爺さんの名ゼリフ。
「ココホレワンワン」
と大判小判の在処を教えてくれた名犬シロの遺灰を枯れ木に撒き、そして花を咲かせるという悲しくも美しい不思議な昔話。
もちろん実際に、枯れた植物がもう一度花を咲かせるということはありません。
しかし、自然の中であれ、家で育てていた植物であれ、時に植物たちは枯れた後にも美しい姿を見せてくれることがあります。それは死ではなく、自然の生命感のようなものでもあります。
芽生え、葉を出し、天に向かって伸び、花を咲かせ、種を残し、いつしか枯れてゆく。
植物たちの自然のサイクルは時に短く、時に途方もなく長い時間をかけてまわっていきます。
私たちのライフサイクルからは想像もつかないような悠久の時間をかけて朽ちてゆく植物たち。
それは単に生花や観葉植物をお部屋に飾るだけでなく、植物の生命もその後も、自然が生み出す美を楽しみ、慈しみ、共に暮らしていくということ。
枯れ木に花は咲きませんが、
枯れ木にもまた、かつてそこにあった生命を感じさせる独特の美しさが宿っています。
writer:Ryo Yoshida