STAFF INTERVIEW  VOL.7
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名古屋店に籍を置き、生花の仕入れやドライフラワーでの制作物を監修している奥山は、garage全体のウェディングディレクターも勤めています。名古屋店の上階は、週末には挙式スペースとなり華やかで幸せな空間となります。そんなウェディングの様子や奥山が考えるgarageらしいお花の提案について聞いてみました。



―お花との出会い、これまでの経験を簡単に教えてください。

母が生け花をしていたこともあり、小さい頃から必ず家の玄関先には季節の花が飾ってありました。母は生活の一部としてごく自然に花を飾り楽しむ人で、お庭で咲いた花が一輪挿しに飾ってあったりもしました。そんな家庭環境に育ったこともあり、就職の際には、名古屋の老舗花屋の門をくぐりました。そこでの経験はとてもハードでしたが、お花の基礎をすべて学ぶことができとても貴重な時間でした。

その後は8年ほど、ウェディングの仕事をしていました。ハウスウェディングでは一軒の邸宅を貸し切り、入口からお庭、控室など会場の空間まるごとを装飾します。garageで手掛けるウェディングも植物がある空間全体を演出することが多いので、ハウスウェディングの経験が今の基盤となり活かされていると思います。その後もずっと花に携わる仕事をしていたのですが、ある時garageでウェディングを本格的に始めるという話を聞き、新しいスタイルのウェディングに挑戦してみようと入社を踏み切りました。花を活けるだけでなく、自分はウェディングに携わることが好きなのだな、とその時強く実感しました。

 

―garageはいわゆる花屋ではなく、インテリアと植物を扱うお店ですが、戸惑いなどはなかったですか?

garageは普通の園芸店やインテリアショップと違い、植物を用いた大掛かりなディスプレイを得意とし、大きな枝やドライフラワー、時には鉄や木も使った味わいのある空間表現をします。私は植物のなかでも生花をメインとして扱ってきたので、最初は少し戸惑いました。でも、生花だけでなく観葉植物や庭木、インテリア雑貨など、お店にある様々なものを使って空間を演出する楽しさを知り、自分の表現方法がぐんと広がりました。

例えば、枯れ枝など一般的には不要とされてしまうものを表現に使い、植物自体の造形美を伝えることは今までにない経験でした。garageは、本来の役割を終えたものに新しい価値を持たせて蘇らせます。そこは、ほかの園芸店にはない最大の魅力だと思います。

 

―生花はどんなイメージのものを中心に仕入れをしていますか。

基本は、野に咲いているような楚々とした草花をイメージしています。落ち着いた色味で統一し、ドライフラワーになりやすい花や枝ものを中心に仕入れています。オージープランツも種類豊富に取り揃えています。

店頭では苗や鉢植えで販売している植物を、切り花として仕入れることもあります。そして、接客の際には、切り花を見て気に入られたお客様に、ご自身の手で苗を育てて頂くことをおすすめしています。お庭に植えたものが成長し、季節とともに花開き、それを剪定し部屋に飾り眺める……、その一連の流れこそが「植物と暮らす」真の楽しさを教えてくれると思っています。私も、自宅の庭で育てた花を切ってお部屋に飾ります。切り立ての花の良い香りには気分が癒されます。花の存在は暮らしの一部になっていて、一輪あるだけでやはり心が落ち着きますね。お客様にもその楽しさ、幸福感を味わって頂きたいんです。

 

―garageで作るブーケやリース、スワッグにはどんなオリジナリティがありますか。

生産者さんや市場から仕入れたお花をベースに、豊橋にあるgarage gardenで剪定した枝や野山で採った自然のものを使ってアレンジしているところが魅力です。生産者さんにしっかりと育てられた美しいお花と、それとはまた一味違う自然の営みのなかで生まれた野生的な茎や枝の動きは、組み合わせるだけでも表現の幅がぐんと広がります。自然の造形美を大切にし、いかにその魅力を引き出して表現できるかを一番に考えてつくっています。

また、花だけでなく観葉植物や多肉植物でドライをつくると、思いもしないような魅力的な姿に仕上がります。そういったものをドライアレンジに入れ込んで、garageにしか出せない独特な雰囲気を生み出しています。

 

―名古屋店の4Fでは「ボタニカルウェディング」を行います。特徴を教えてください。

「ボタニカルウェディング」のイメージは、グリーンが溢れる森のなかのようなナチュラルな雰囲気の結婚式です。ゲストは植物の回廊を通って会場へ入り、森に足を踏み込むような気分へと誘われます。チャペルには、森の中で霞がかかっているような白いチュールを施し、足元にはブロカントのボトルやトランクを配置、グリーンを主体に絵本の1ページのような幻想的な場面を演出します。

garageらしく生花やドライフラワーをアレンジしたコサージュやヘッドドレス、ブーケを身につけた新郎新婦さんが愛を誓う宣誓書も、ドライフラワーで制作することがあります。さらにふたりを祝福するのは、ゲストからのプランツシャワーです。四季のお花を使うフラワーシャワーはもちろんですが、オリーブやユーカリの葉を使ったリーフシャワーを行うことが多いです。とにかくここが本当にビルのなかなのか信じられないほど、緑豊かな空間でウェディングがとり行われます。

―garageにしかできないウェディングの装飾にはどんなものがありますか。

garageのウェディングの強みは、生花のみにとどまらず観葉植物や庭木、流木、ブロカントの雑貨などを組み合わせて、空間全体を多彩に創りあげていけるところだと思います。特に、鉢物の木を使うところは他ではなかなかなく珍しい演出です。例えば、ウェルカムボードにオリーブの木を使い、新郎新婦の生い立ちの写真をたくさん飾ったこともあります。また、多肉植物好きのおふたりの式ではサボテンだけを使って空間を個性的に装飾しました。装飾に使った植物を、結婚式の記念に購入される方も多いです。逆に、ご自宅にあるお気に入りの植物を持ち込まれ、式の装飾に使うこともあります。

それぞれの趣味嗜好をもとに、おふたりの生い立ちや馴れ初めを織り込んで、普通のウェディングでは想像できないようなことを実現させるのがgarageのウェディングです。結婚式当日は夢のような特別な一日です。おふたりの要望を可能な限り取り入れて、気持ち良く幸せな時間を過ごせるようにと心掛けています。そして、後から思い出した時にも幸せな気持ちが蘇るくらい印象に残る一日になるようにお手伝いしたいと思っています。大切なゲストの方々にも、こんなの初めて!と驚いて頂いて、心から非日常を楽しんでもらいたいですね。

-今後、garage wedding はどう発展していきますか?

今までもいくつか行ったことがあるのですが、公園や山のなか、キャンプ場など、新郎新婦さんが気に入った場所でウェディングを挙げられる機会をもっと増やせていけたら良いなと思います。自然の風景とgarageらしい装飾を融合させて、新たな魅力を創り出していきたいです。

また、今は名古屋が中心ですが、garageらしい植物やブロカントを使ったウェディングを、積極的に他店舗で開催できるように体制を整えていきたいです。

式の後に新郎新婦さんにご挨拶やお手紙を頂くと、どんな苦労や疲れも吹き飛んで、ただただ全力でやって良かった!と感じます。これからもより多くの方に、garageでしか体験できない想い出に残るとびきりのウェディングをお届けしていきたいと思います。

 

interviewer:Mari Ohki

奥山幸

奥山幸

Yuki Okuyama
wedding director

愛知県名古屋市出身
好きな植物:クレマチス
好きな食べ物:チーズ
趣味:自宅の庭づくり