STAFF INTERVIEW  VOL.6
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2007年にオープンした豊橋本店。オープン初期に入社した大林は、garageの柱として現在まで過ごしてきました。大林というフィルターを通すことで、空間やアレンジがgarageらしさをまといます。新店オープンの際には、各店舗のカラーを出すディスプレイを手掛けるなど、garageのキーパーソンとなる大林に、いろいろと聞いてみました。



―garageとの出会い、そして仕事について教えてください。

27歳の頃、たまたま結婚式の余興でバンド演奏をしに行ったときに、その会場を装飾していたのがgarageでした。流木を使って道を作り、いわゆる普通の花屋さんとはひと味違ったお店だなと感じました。その後28歳で入社した当時は、5人位しかいない少人数の会社でしたが、入社当時からすでに「garageらしさ」は存在していました。それから2年くらいは、様々な技術を見て勉強をしたり、庭木のこと、花苗のことなど植物についても一から学びました。”らしさ”を掴んでからは、garageで吸収したものに自分なりのテイストを加えていって「garageらしさ」を更に深めていきました。

 当時のgarageでは、ディスプレイのほか、庭の作り込み、craftクラスの講師や生花を束ねることなど、どんなことでも自分でやらなければならなかったのですが、その様々な経験が自分を育ててくれたと思います。名古屋店オープンの時には、何もないところからgarageを作りあげる新鮮さや楽しさ、それと同時に緊張や不安もありました。それ以降も新店ができるたびに、そのコンセプトからどんなディスプレイをするか、商品展開の内容などを考えていく工程をやらせてもらっています。

―自分にとってgarageとは?

自分は植物全般が本当に好きで、自称garage 一の植物好きだと思っています。アンスリューム生産者の家に生まれた自分にとって、植物は幼い頃から当たり前にある存在でした。そしてハウスや小屋など、いろいろなものを手作りするような家だったので、そういった暮らしのなかで、自分の手で何かを生み出していくことが好きになりました。

例えばもの作りはもちろん、楽器を奏でて曲を作ることも好きです。頭に描いたものをカタチにすることが好きなんですよね。お店のディスプレイも頭のなかでイメージして作りあげていくので、そういったことが役立っているのかもしれません。家業の生産にも5年間携わり、garageの前職はインテリアに関する仕事をしていたので、植物・インテリア・創造、このすべてが揃ったgarageは自分の居るべき場所だと感じています。

―プライベートでは、暮らしのなかでどのように植物を育てていますか?

自宅では、観葉植物や塊根植物のパキポディウムやオペルクリカリアなど多種多様な植物を育てています。鉢植えなので、その植物にどんな器が合うか、どんなものが部屋の雰囲気に合うかを大切にしています。また鉢ではないものやインテリアを鉢代わりにして部屋に合うような工夫もしています。例えば、生活するなかで使わなくなった茶筒やステンレスのマグに入れてみたり。植物は窓辺に集まりがちですが、その窓辺の空間をいかに自分らしくワクワクできる空間にできるかが重要なポイントですね。


<自宅の窓辺>

庭については、シルバーガーデンをテーマにオージー系の植物をメインに植栽して、成長を楽しんでいます。緑々とした色味をなくし、シルバーのコントラストや葉っぱの形、背丈の高低差などで空間を表現しています。単体で気に入った植物があったとしても、庭の全体に合うかどうかがとても重要で、合わない場合は鉢植えにして庭とは切り離した空間で育てています。地植えになってる植物は成長が早いので間引き剪定したり、その切った枝葉や花などを部屋に飾り、その後はドライにしてインテリアとして楽しんでいます。そういう日々のさりげないことが、生活のなかに潤いを与えてくれます。


<自宅の庭>

また最近は雑木類にも興味があり、山や林に自生している木や蔓にも魅力を感じています。山林に生えてる木や道端の雑草など、まだまだいろんな植物があるんだなと発見の毎日です。市場には出回らない普段の生活で当たり前のように目にしてるものでも、見せ方ひとつで素敵な植物に見えたりもするんですよね。それもgarageの見せ方に繋がってるじゃないかなと思っています。当たり前のものが当たり前じゃなく見える、それを大事にしたいですね。そして、まさしくそれがgarageのルーツだと思います。

 

―ずばりgarageの本質とは何ですか?

シンプルで素材感のあるもの。植物とインテリアの融合。空気感を大切にした空間作り。そんなところですかね。

“捨てればゴミ使えば宝”の精神を大切に、古材や足場板、流木や剪定した枝葉を再利用することで、思いもしない新しい価値が生まれます。そういったオリジナルの価値を見出すことがgarageの本質であり、一番やりがいのある部分な気がします。

 

―今年3月、横浜にオープンした系列店[noni]の魅力を教えてください。

noniでは、ドライ花材や枝物など自然素材を中心に扱い、コンセプトも今までのgarageと一味違います。素材を楽しむことを実践してきたgarageが、もっと素材に特化した店舗を作ってみたいという想いから、お客様が組み合わせて楽しめるような好奇心を刺激する様々な商品を取り揃えています。他の店舗でも扱いはあるのですが、その一部分を抽出し凝縮したのがnoniです。だから店内も非常に内容の濃い素敵な空間ができたと思います。

素材を中心とした構成なので、アレンジも色合わせが重要で、より感覚的なものが求められます。蔓など野山に自生している植物は、ありのままの生命力溢れる力強さがあります。市場で扱っていないものが醸し出す迫力はすごいものです。noniではそんな魅力が伝えられればと思っています。

 

―今後の展望を教えてください。

植物に関しては、いつか生産のところからきちんとチャレンジしたいと思っていたので、豊橋で昨年スタートしたfarm[Hata Raku]を本格的に稼働させていきたいですね。

また、店舗数や事業が増えたとしても、決して王道に落ち着かず、常に斬新で尖ったものを追求していきたいです。特に豊橋本店は、自分達の信念を貫くインディーズ感を大切にしていきたいと思っています。garageの世界観を味わうなら、ぜひ豊橋へ足を運んでいただきたいです。すべての原点である豊橋ではきっと、ぶれないgarageの真髄を空気の様に自然に感じられると思います。

 

interviewer:Mari Ohki

大林孝行

大林孝行

Takayuki Ohbayashi
brand director

愛知県豊橋市出身
好きな植物:ソフォラ
好きな食べ物:チーズ
趣味:ギター